ファシリテーターの役割とスキル

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成果を生み出す“場”をつくる、見えないリーダー
ファシリテーターとは、単に議論を「進行」する人ではありません。多様なメンバーが関わる中で、意見を引き出し、対立を整理し、合意形成を導いていく――いわば“成果を生み出す場づくり”の専門家です。
本記事では、ファシリテーターの主な役割と、実践に必要なスキルについて解説します。

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ファシリテーターの主な役割

1. 議論の構造化・見える化

会議や対話の目的に合わせて、議論を段階的に整理し、参加者が今どこを議論しているかを「見える化」。ホワイトボードや図解などを使って、複雑な話を構造的に捉え直す支援をします。

2. 参加者の意見を引き出す

話しやすい雰囲気をつくり、声の大きな人に偏らないように配慮しながら、多様な視点やアイデアを引き出します。沈黙も尊重し、言葉にならない思考にも寄り添います。

3. 対立や混乱を整理・調整する

意見の対立や方向性のズレが発生した際に、感情のもつれを避けつつ、論点を整理しなおして再構築します。必要に応じて議論を一時停止し、立ち戻る判断も行います。

4. 合意形成と意思決定の促進

議論の結論が曖昧なまま終わらないよう、意見の集約と意思決定まで導きます。「何が決まったか」「次に何をするか」が明確になってこそ、会議は意味を持ちます。

ファシリテーターに必要なスキル

■ 傾聴力と観察力

言葉の内容だけでなく、声のトーン、表情、沈黙の意味などを読み取る感受性が求められます。発言の裏にある意図や感情に気づき、場の空気を整える力です。

■ 質問力

場を動かすためには、「今、この人に、この問いを投げかける」という判断が鍵になります。開かれた質問(オープンクエスチョン)を効果的に使うことで、参加者の考えを深めることができます。

■ 論点整理と構造化の力

議論の流れを俯瞰し、どの論点が重要で、どう関係しているのかを可視化・再構築する力。情報を交通整理し、合意形成に導く“論理のナビゲーター”としての視点が必要です。

■ 中立性と場のマネジメント力

自身の意見を押しつけず、参加者の関係性や立場に配慮しながら場を運営する能力。特に利害関係者が多い会議では「安心して話せる空気づくり」が成果に直結します。

リーダーやPMにこそ必要なファシリテーション力

これらのスキルは、特別なファシリテーターに限らず、会議やプロジェクトを日常的に推進するリーダーやPM、そしてチームのハブとなる役割を担う人にとって不可欠です。

特に、近年注目されているアジャイル型の働き方においては、ファシリテーションは中核をなすスキルです。たとえばスクラムの枠組みにおいては、「スクラムマスター」がチームの自律性と協働を支援する役割を持ちますが、その本質はまさにファシリテーターです。

チームメンバーの声を引き出す
プロセスの障害を取り除く
対話と内省を通じてチームの力を高める

といった活動において、ファシリテーション力が成果を左右します。

今後、変化の激しい時代においては「指示するリーダー」よりも、「対話と共創を促すファシリテーター型リーダー」がより求められていくでしょう。プロジェクトを成功させ、組織の力を引き出すためにも、ファシリテーション力は現代のビジネスパーソンにとって必須のスキルと言えます。

まとめ

リーダーシップとファシリテーションは今や不可分の関係にあります。次回は、ファシリテーションがうまく機能していない現場の実例と、そこから学べる改善のヒントをご紹介します。

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